民家の再生
江戸後期「本棟造民家」Ho邸
下屋根部を瓦・金属葺に葺き替え、外壁は漆喰仕上、
連地格子は新規に製作している。
正面地袋は再使用、天井部を撤去、建築時の土間上昇空間を再現し、
トップライトより光を落としている。
天井を撤去、松梁を化粧仕上、新に付長押・幕板を取り付けている。
床下を改修し、左面に階段部が加わった和室・続き間
手前引き分け板襖は、再使用建具。
再生後
荒床を撤去、松梁を化粧仕上し2層階の吹き抜けを創出。
東面には高窓を新設し朝日の導入と自然通風を確保。
薪ストーブにより2階部までの、全室暖房を可能にしている。
和室・続き間に置かれた旧家ならではの「飾り雛」
新規に設置した階段下部に、ムク板の装飾棚を設置。
床下から出て来た珍しい形状の「石臼」
玄関脇に玉石敷上に据えられている。
信州上伊那地域は、河岸段丘底部である沖積氾濫原に広大な水田が広がる
「水郷地帯」である。長期に渡り豊かな「水田耕作」が営なわれ、
明治中期以降の「養蚕業」への転作も少なく「水田」を主体とした原風景を
継承してきた。
Ho邸
「養蚕民家」が多数残存する南信州と異なり、江戸後期からの「本棟造民家」
が極く少数ながら住み継がれている。今回再生されたHo邸も「水郷地帯」
に建築されたこの様な民家である。
Ho邸
旧家の趣を残す土蔵廻りに配された水路。
生活用水として、多用途に有効利用されてきた。
庭園には建築時に植樹されたと思われる樹径の大きな
アカマツ等が、幾種も生育している。
地域の皆さんの「本棟造民家」への意識は高く、
昭和の「本棟造民家」が「水田地帯」に幾棟か点在している。