伊那谷の牧歌的な風景がまだ感じられる周辺環境内での、地域の「旧家」の
再生工事です。周辺が宅地化し新築住宅が建ち並ぶ中、当家の
「伝統民家の重厚さ」がより感じられます。
民家の再生
明治後期「養蚕民家」 Ma邸
再生前
再生後
伝統的な田園風景の残る地域の「旧家」の再生です。
2階は全て居室に模様替えしています。
門、塀まで漆喰・なまこ壁で仕上げられた「堂々たる民家」です。
伊那谷の特徴で、このアングルがほぼ南向きで、敷地に対して45度位振れて
います。
軒の深い玄関廻りの表情です。
2階の手摺り等は、桧材にて新規に造作しました。
再生前 玄関廻り
南面が日差しを浴びて、暖かそうな冬期の「陽だまり」風景です。
蚕養主体の2階部分も居室としてすっかり生まれ変わりました。
玄関部の詳細です。
右側の格子の付いた地窓は、玄関収納部の明かり取りです。
再生前 下屋部
下屋部は解体し、新築として生まれ変わりました。
三世代の皆さんが、暖を分かち合う薪ストーブの煙突がシンボリックです。
本漆喰塗り、桧ムク板フローリング等により仕上げられた玄関ホールです。
落ち着いたモノクロトーンの色彩が、来宅者に「厳格」なイメージを与えます。
お引き渡し後、2年目の状態ですが本当に綺麗に住まわれています。
再生前 玄関
少しづつ改装され、長く大切に磨き込まれ使わ
れてきた玄関廻りです。
来訪者の正面に控える本漆喰仕上げの飾り棚です。
面皮取りのカシュー塗框・タタミ床・R状のカシュー塗カウ
ンター等、大変手の込んだ職人芸です。
再生前 居間
下屋部は解体して新たに組み直しました。
食堂と居間は、3本引障子戸で簡易的に区切られています。
下屋部に差し込む障子越の柔らかな天空光が、2階の子供部屋にも差し込む
様に考慮してあります。
1階の居間から吹抜を介し2階のホール・居間迄、この12,000キロカロリー
の大型薪ストーブで暖をとります。核家族化で単世帯住居が増える中、三世
代の皆さんが伝統ある古民家でストーブの暖のごとく仲良く生活しておられ
ます。
再生前 2階
「お蚕様」の名残が感じられる再生前の2階
風景です。左側に「かごろじ」の棚がみえます。
再生前 小屋裏
実測しながら、再生前に小屋裏を調査しました。
つなぎ材の「変木」も見つかり「楽しそうな吹抜け空間」が出来そうです。
2階の階段ホールです。変木も意図的に表し、天空光のやわらかい光を、階段下迄落としています。
居間から階段ホールを見た光景です。
引き込み障子戸により居間から階段ホール・1階迄、空間
のボリュームをコントロールし、四季の変化と共に生活を
楽しむ事ができます。
階段ホールを見上げています。
上昇した暖気を拡散する天井扇が上部に見えます。
階段吹抜部を見下ろしています。
屋根勾配なりの天井仕上の2階居間です。
再生前 1階(居室から水廻りへ)
洗面化粧台も全体イメージに合わせ、造り付けてあります。手元間接照明等、良い雰囲気です。
いつも清潔にかわいらしく、再生民家の生活
を楽しんでおられます。
玄関脇に設けたクローク収納です。
天井迄の十分な収納量を確保してあります。
百年来磨き込まれたタタミの続き間です。
やはり心の安らぎを感じる安堵があります。左側の引き分け
障子戸は、玄関の本漆喰仕上の下地窓に繋がります。
平成16年12月竣工 木造2階 模様替(飯田市)