農村部の衰退と都市部の農村志向
戦後の急激な経済成長により、都市部と農村部の産業・経済体系は対局的に変貌しました。
都市部には、労働人口・マネー経済が集中し、農村部は過疎化に拍車がかかり、
一次産業は衰退し農林業を含めた自給率も食糧40%、木材20%と大きく減少しました。
しかし近年において、経済の減衰・長引く不況・また生活面での孤独な高齢者数の増加等、
都市生活における多様な問題点が浮上してきました。先行きの分からない経済状況、
自然環境が少ない生活やストレス社会により、心の健康で悩んでいる人が増えているのです。
このような都心部で、自然豊かな農村で失ってしまった心と体の健康を取り戻したいと、
静かな「農村ブーム」が起きています。
都市住民の3,000~4,000万人の約3割にあたる1,000万人が農村志向をもつというデータがあり、
そのうちの約4割が二十代の若者です。多くの方が都市での生活に希望が見いだせず、農村に希望を抱いているのです。
農村に対する都市住民のニーズを分類すれば、
(1) 安全な食・農の確保
(2) 自然界での体験
(3) 田舎暮らしやスローライフ体験
(4) 健康・癒しへのニーズ
(5) 文化・コミュニティへのニーズがあります。
これに加え企業側からは、
(1) CSR活動(社会貢献)
(2) 安全な食の調達
(3) 人材活性化
(4) CO2の削減
(5) 農業参入などの新規事業の立ち上げが加わります。
(えがおつなげてマネージメント・コーディネーター講義より)
遊休農地と交流拠点に復活
アルプスの山並みと天竜川水系の段丘により形成された南信州は、
一次産業主体による牧歌的な美しい農村原風景を継承してきました。
現在では当地域も、農村部住民の高齢化により遊休農地・空家が多く見受けられるのが現状です。
都市部をお金・施設面での「経済福祉」に例えるなら、農村部は自然・環境・人・心に恵まれた「環境福祉」の聖域と言えます。
この両地域の特性を上手に調和させながら、農山村地域を活性化させたいのが私たちの想いです。
また緑豊かな農山村においては、自然・文化・人々との交流を楽しむ余暇活動(グリーン・ツーリズム)が主体になり、
過去の名所巡りの観光とは、両極化の傾向にあります

田舎暮らしの体験
大豆から味噌を作る
「豆人プロジェクト」

田舎暮らしの体験
子供たちの「カマド」体験
遊休農地は、安全な食・体験・健康・癒しのニーズを満たす「体験農園」「クラインガルデン」
「付加価値を付けた特産品の販売・6次産業化」等により復活可能ですし、貴重な民家は歴史的価値観を持ちつつ、
企業の研修所・事業の拠点として全く新感覚の理念に順じ創造される事でしょう。
リニア開通も間近に迫る中、南信州の長年により培われた風土・文化を発信しつつ、
都市部との交流により、新たな産業・地域文化を創出していきたいと思っています。